石膏利用の質問
32)石膏の白華の原因と対策は
回答:
石膏の白華(はっか)とは:
濡れた石膏型から、石膏型の乾燥に伴って、型表面に異物が析出する現象です。
陽イオンと陰イオンのそれぞれ1種類ずつから成る塩を単塩と呼ぶのに対して、
陽イオンまたは陰イオン、あるいは両方を2種類以上含む塩のことを復縁と呼びます。
石膏の硫酸カルシウムと別の塩である硫酸ナトリウムや硫酸カリウムが一つの結晶(複塩)として、
石膏型表面から析出したものを白華と呼びます。
雪の結晶の様に、ふわふわした白華(硫酸ナトリウムと硫酸カルシムの複塩が多い)や
型表面に白く粉をまぶした様なあるいは粘り気のある白華(硫酸カリウムと硫酸カルシウム
の複塩が多い)が石膏型で問題となる白華の代表です。
いずれも石膏型の硫酸カルシウムが複塩成分として析出するため、表面悪化の原因となります。

白華発生のメカニズム:
濡れた石膏型内部の余剰水が表面に向かって乾燥移動する時に、石膏製品に添加されたナトリウム塩かカリウム塩の
ナトリウムかカリウムが表面に移動してきて、石膏の硫酸カルシウムと硫酸ナトリウム(か硫酸カリウム)の
複塩となってゆっくりと析出するものです。

ナトリウムやカリウムはどこから?
石膏製品の特性の調整用に製造時に添加されたものと、離型剤として塗られたナトリウム石鹸やカリウム石鹸などから
のものが主な原因成分です。ただし、少量ならほとんど目立たないか発生しません。

白華防止の対策:
@ゆっくりと乾燥することが要因ですので、強制的に45℃程度の温風で乾燥する。
A使用面以外から乾燥する様に、裏側や使用しない側面から、風により乾燥させる。
B使用面から乾燥しない様に塗装する。
 注:シケラックニスは、中途半端なコートとなり、ゆっくりと乾燥して、むしろ白華の原因となることがあります。
C乾燥の途中で、温水で濡らした綺麗な海綿やガーゼで型表面を丁寧にふき取る。

注意:本回答は、下村石膏(株)研究室が作成したものです。
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