石膏利用の質問
26)石膏型を石膏で反転する時の作業手順
解説:
石膏型に石膏を流し込んで反転型を成形する時、石膏型には弾性が無いため、
逆テーパー(抜き勾配が無し)の時は石膏型を割らないと離型できません。
また、離型剤処理が不十分の場合、流し込んだ石膏が貼り付いて離型困難となります。
そのため、石膏型を石膏で反転する作業は、難しい作業といえます。
なお、成形後の石膏型にワセリンが多少付着してもよい場合は、ワセリンを利用することで容易に離型できます。
ワセリンで表面精度が出ない場合は、ワセリンを有機溶剤(ケロシン等)の5%液を塗布してから乾燥することで、
ワセリン離型剤でも精度を出すことができます。

作業手順(カリ石鹸離型剤処理の場合):
1)抜き勾配(テーパー)が十分に取ること。(抜き勾配が小さいと離型が難しい)
  *最初から割り型にして離型する方法もあります。
2)凹型では、流し込んだ石膏の硬化膨張で抜きにくくなります。(凸型では、逆に抜きやすくなります。)
3)離型剤は、カリ石鹸、固形石鹸(ナトリウム石鹸)の10%前後濃度に水に溶解した液を使用します。
  *カリ石鹸は、ペースト状の石鹸で容易に水溶液にできます。入手は、薬局で購入できます。
  *離型剤処理初期は20%で開始し、通常作業は10%、型がなじんだ時は5%でも離型できることがあります。
4)「刷毛で離型剤をたっぷり塗って、海綿・ガーゼでふき取ってからよく乾燥する。」を最低2回以上繰り返します。
5)離型処理後の石膏型の上に水滴を1滴落として、石膏型に最低5分以上吸い込まれなくなれば、離型剤処理完了です。
  *水滴が短時間に吸い込まれる場合は、流し込んだ石膏の離型が難しいため4)を繰り返します。
6)離型剤処理ができたら、離型剤を塗ってふき取り、石膏を流し込みます。
  *離型剤処理ができたとは、カリ石鹸がカルシウム石鹸となり、不溶化して型表面が撥水、不透水化した状態をいいます。


注意:本回答は、下村石膏(株)研究室が作成したものです。
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