石膏利用の質問
24)純粋なα石膏、β石膏を供給できますか
回答
結論から申し上げると、純粋ということであれば、供給は不可能で、
純粋な2水石膏原料をゆっくりと厳密な温度管理であれば、
純粋なα石膏、β石膏を製造できると言えます。

しかしながら、純粋な2水石膏原料を確保することが困難です。
天然原石原料では、天然であるが故の不純物の混入が避けられないこと、
純粋な2水石膏原料だけでは、良好な合成2水石膏の製造が難しいめです。
*例えば、媒晶剤と呼ばれる結晶を発達させるための添加剤が混入することが多いです。

*高純度の硫酸塩とカルシウム塩を使用すれば、高純度の硫酸カルシウムが得られますが、
 通常どちらか一方の原料を廃棄処理用の原料か自社で無償で確保できる原料である
 場合に化学合成による原料石膏を商業ベースでの生産が可能と言えます。

廃棄物や無償とは言え、日本の化学合成石膏の品質は世界のトップレベルであると言えます。
そのため、通常、添加剤をほとんど使用しないβ石膏を主原料とする市販A級石膏、
B級石膏は純粋に近いβ石膏です。
(注:メーカーにより配合が異なりますので、直接お問い合わせ、ご確認下さい。)
一方、α石膏は、多くは添加剤を使用して、膨張、硬化時間など使いやすい性能に調整して
製品化されますので、純粋に近いα石膏が市販されることは非常にまれと思われます。

更に、α・β石膏である硫酸カルシム半水塩は、窯で加熱されて2水から半水石膏に焼成されて
製造されます。
窯の中で焼成する場合、極端な言い方をすると実験レベルでは2水石膏、半水石膏、
V型無水石膏、U型無水石膏の混合物を製作してしまう可能性すらあります。
焼石膏メーカーは、ほとんど半水石膏で、一部V型無水石膏の混合物製造を目指し、
その後、空気中の水分で熟成させることで、100%半水石膏とすることを目指しています。
このため、焼石膏製品が半水石膏100%と言い切ることも難しいと言えます。


注意:本回答は、下村石膏(株)研究室が作成したものです。
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