石膏利用の質問
12)石膏の膨張とは
回答
焼石膏が針状の2水石膏の結晶となって硬化する時、発熱膨張と硬化膨張が同時に起こります。
2水石膏が硬化に伴い膨張するのは、針状の結晶が成長するに伴って押し合うためです。
2水石膏結晶の絡み合いで強度発揮する中で結晶どうしの押し合いも発生しているからです。
硬化膨張ゼロの石膏製品が無いのはこのためです。
一般的に硬化膨張を抑制すると強度も低下するため、混水比(混水量)を下げる様にしますが、
混水比(混水量)を下げると、今度は硬化膨張が大きくなってしまいます。
石膏製品は、混水比(混水量)、硬化膨張、強度の品質のバランスのもとで製造されているのです。

さて、各種石膏製品の硬化膨張は、小さいもので0.02%、おおきいもので1.2%といろいろです。
標準的なもので0.2%と試験成績書や製品の袋に記載されています。
これは、フリーの状態で硬化開始から2時間後にどれだけ膨張するかをあらわしています。
だだし、この数値は使用条件、例えば型の材質(アルジネートかシリコン、木枠か粘土枠)
全体の温度、攪拌の条件などで厳密には異なりますが、相対的ですが重要な目安となります。

0.2%の膨張率とは、1mなら2o、10pなら0.2o、10oなら20μmとなります。
歯科補綴物で単純には許容できない数値ですが、反転材料の選択・組み合わせ等により、
最適な適合精度を目指す大切な指標となる数値と言えます。


注意:本回答は、下村石膏(株)研究室が作成したものです。
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